> [!更新履歴]
> 2023/02/04: bloggerに[初版](https://nokinoki23.blogspot.com/2023/02/blog-post.html)をアップ
> 2023/06/25: Mediumに[改訂版](https://medium.com/@nokinoki/改訂版-日本古典文学を知るための基本文献-古文編-7351c273dd50)をアップ
> 2025/12/07: ブログ移行につきレイアウト等の調整及び内容の改訂
---
このページでは日本の古典文学について知りたい・調べたい・読んでみたいという方向けに参照すべき本などについてまとめている。
研究者目線でのまとめなので演習の準備をする学部生向けだが、現役の国語教員や創作活動に参照したいという向きにも役立つかもしれない。
なお、これを書いているノキは、専門が上代の和歌文学(奈良時代以前)なので、そうしたものに偏っていることは勘弁してほしい。
わからないことなどは直接連絡してくれれば答えられるので、気軽に聞いてね。
---
# **1.全集**
古典文学の主要テキストに校訂を施し、注釈を付したシリーズとして以下のものがある。これらは、一般読者を対象として編纂されているので、まずはじめに読む本文として読みやすい。
また、解題・解説もその作品に関する基本的な事項をわかりやすく述べていて参考になる。
## 『日本古典文学大系』(岩波書店)
もう絶版だけど、今でも参照すべき文献の1つ。
頭注・本文などからなる。国文学研究資料館提供「日本古典文学大系本文データベース」(利用制限あり)で全文検索が可能。**体系**ではないので注意。
古本屋では安く売っているので手元に置きたい場合は結構良い。
## 『日本古典文学全集』(小学館)
これも絶版。頭注・本文・現代語訳の三段組。巻頭のカラーグラビア、本文中の挿絵のおかげで読みやすい。
小学館から刊行された類似の叢書に『完訳日本の古典』があるが、同一内容ではないので注意。
これも古本屋で安く売っているので手元に置きたい場合におすすめ。
ノキは学部2年のとき、これの『万葉集』を買ってから研究生活がスタートした。
## 『新潮日本古典集成』(新潮社)
頭注・本文の二段組。二色刷りで読みやすい。サイズは四六版なので持ち運びしやすいのが利点。
上代文学作品は漢字本文がないのが惜しい。新装版が最近出ている。
## 『新日本古典文学大系』(岩波書店)
本文・解説・脚注からなる。
近世文学作品が増えたが、上代だと『古事記』・『日本書紀』・『懐風藻』がなくなり『続日本紀』が加わった。
下の『新編全集』に比べると専門家向け。ぼくは結構すき。
## 『新編日本古典文学全集』(小学館)
頭注・本文・現代語訳の三段組。二色刷りで読みやすい。カラーグラビアがなくなった。「JapanKnowledge」から閲覧可能。
一般向けの最高峰。お金のある方はぜひご購入を。
# 2.事典類
わからない点について、辞典類をひもとくことがアプローチの基本。
ここでは、主に事項を調べるための事典を紹介する。
## 『日本古典文学大事典』(明治書院)
研究の出発となる事典。とにかく気になるものがあったらこれでその事項の詳細を確認しよう。参考文献が明記してあり、その項目の執筆者名も書いてある。
## 『日本古典文学大事典』6冊(岩波書店)
明治書院のものと双璧。こちらも必見。
個人的に、こちらより明治書院のもののほうが記述がまとまっている気がする。
# 3.辞典類
辞書や事典には、おのおの独自の編集方針があるため、「凡例」にあたってその辞書の方針を知っておくことが大切。
さらに、解説のほかに「用例」は必見。用例が適切でないこと、解釈が間違っている場合もあるからだ。
ここでは主に、用語を調べる辞典類を紹介する。
## 『日本国語大辞典 第二版』13冊(小学館)
古語から現代語まで、現在もっとも大きな国語辞書。「JapanKnowledge」から利用可能。
ある授業で、先生が「学生のうちに『日国』と『大漢和』を引いたことがないのは不幸だ」と言っていた。
見るだけでもいいから、図書館で見てみて。
## 『角川古語大辞典』5冊(角川書店)
もっとも規模の大きい古語辞典だが、語釈の要領が悪い気がする。
とはいえ、必須辞書であることには変わりない。
「JapanKnowledge」から利用可能。
## 『時代別国語大辞典』上代編(三省堂)
1つの語について調べるときは、『日国』・『角川』、そしてこれを合わせて3冊は必ず見ること。
「上代語概説」や「付録」も必見。平安時代をやる人もこれは見ると言っていた。
室町時代編というのもあるので、そのあたりの文学作品に興味がある人はこちらを参照のこと。
## 『古語大辞典』(小学館)
中型の辞典としては最も優れている。語史・語釈が充実。
ノキは最も手軽な辞書として愛用している。
## 『岩波国語辞典 増訂版』(岩波書店)
最もポピュラーな小型辞典。手元に是非。
## 『古典基礎語辞典』(角川学芸出版)
大野晋の遺作。語が限られている代わりに語史・語釈が充実。面白い解釈が多いが、鵜呑みにするのは危険。
読み物的に見てみると良いと思う。
# 4.文法書
まずは高校文法をおさらいしよう。高校で使った文法の教科書を手元に置くのがなんだかんだで一番使い勝手が良い。
そのうえで、より高度な文法事項を知るための方法を紹介する。
## 古語辞典の冒頭か末尾についている文法解説の項
辞典はことばを引くためだけのものではない。下手な本を読むならまずは手元の辞典を見てみよう。
## 大野晋『古典文法質問箱』(角川ソフィア文庫)
一般向けの本なのでわかりやすい。基礎を抑えるために。結構おすすめ。
## 小田勝『実例詳解 古典文法総覧』(和泉書院)
英文法の本のように、各文法項目が体系的に既述されている。
和泉書院のHPで増補稿が公開されている。必携。
# 5.和歌を読むために
和歌特有の修辞技法や、言葉の使い方があったりする。和歌に興味のある人は、まず以下の本を読んでみてほしい。そのうえで引くべき辞典も紹介する。
## 渡部泰明『和歌とは何か』(岩波新書)
著者は中世和歌の泰斗。和歌ってこういうものなんだーとざっくりわかる。
参考文献だけでなく簡単な索引も備えるので、おすすめ。
## 渡部泰明『和歌のルール』(笠間書院)
和歌の修辞技法について詳しく知りたいならこちらもおすすめ。
様々な学者がそれぞれの項目を分担執筆しているので、前の本より、より一般的な記述になっている。
## 『和歌文学大辞典』(古典ライブラリー)
和歌のことなら上記の『古典文学大事典』と合わせてこちらも要参照。
## 『歌ことば歌枕大辞典』(角川書店)
その名の通り、「歌ことば」や「歌枕」についての表現辞典。和歌に出てくる言葉は上記の辞書類と合わせてこちらも必見。
# 6.文庫
以上は、ちょっと難し目のものを扱った。
ちょっとこの作品に興味あるんだけど、取っ掛かりがほしいな~って時には、文庫を読むのが良いと思う。
この項目では、手に取るのにおすすめの文庫シリーズを紹介する。
## 角川ビギナーズ・クラシックス
内容を手っ取り早く知りたい・簡単にでいいからあらすじを知りたい!といった用途ならこれがおすすめ。
わかりやすさを重視しすぎていたり、長い作品は抄出だったりするところもあるけど、まず手にとるならこれがとっつきやすいと思う。
## 角川ソフィア文庫
上では物足りない・もっと内容をしっかり知りたいというなら、これがおすすめ。
現代語訳がついており、注や解釈もかなりしっかりしてる。有名作品はまずこのシリーズにあるか確認するのが良いと思う。
## 岩波文庫
これは正直初心者にはおすすめできない。作品によるけど、古いものは現代語訳がついてない。注も結構簡素なものが多い。
原文(つまりは古文)でしっかり読める人向け。
## その他の文庫
作品によっては講談社やちくま、河出書房などからも出ている。アンソロジーとしては、平凡社ライブラリーも心強い。
しかし、網羅的でない場合もあるので、その他とした。
手に取りやすいテキストは、ぶっちゃけ本屋さんに行ってみて自分に合うやつを買ってみるのが一番。ぜひ本屋さんや古本屋さんに足を運んでみよう!
# 7. 有用なWebサイト
ここは随時追加していきたいのだけど、まずはこれをあげておきたい。
## 和歌文学テキストデータ構築計画
https://wakatext.org/
* * *
ところで、タイトルに「古文編」とあるのに気づいただろうか。漢文編を企図していたのだが……。ぶっちゃけ漢文は[『デジタル時代の中国学リファレンスマニュアル』(好文出版)](https://www.kohbun.co.jp/%E9%9B%BB%E8%84%B3/%E3%83%87%E3%82%B8%E3%82%BF%E3%83%AB%E6%99%82%E4%BB%A3%E3%81%AE%E4%B8%AD%E5%9B%BD%E5%AD%A6%E3%83%AA%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%83%9E%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%82%A2%E3%83%AB/)がよくまとまってるのでこれ見ればいい感があり、未だ筆を執っていない。
ちなみになのだけど、わからないことがあったら、ぜひ地域の図書館や大学図書館にレファレンスをしてみよう!
質問はふんわりしているより具体的なほうが良い。
> ✕「源氏物語を読みたいのですが」
> ◯「源氏物語を現代語訳で読みたいのですが、初心者でも読みやすい本はありますか?」
レファレンスに聞く具体的な質問を考えるうえで、自分が何を求めているかも明確になる。ぜひ質問を具体的にしてから司書に聞いてみよう。
レファレンスサービスをたくさん使い図書館の実績を増やしてあげることで、司書がただの本の出納係じゃないということも役人に伝わるかもしれない。
メールで聞けることも多いから、まずはHPで調べてみよう。